2016年06月29日

没落していくイギリス

以前、今年の3月5日のジム・ロジャーズ氏の予測記事を紹介しました。

ロジャーズ氏:「確率100%」で米国は1年以内にリセッション入り ブルームバーグ

来年2017年3月5日までにアメリカがリセッション入りする確率は「100%」である。

そしてロジャーズ氏は、アメリカが財政破綻するのは、2019年であり、遅くとも2020年までにはアメリカ経済は崩壊すると予測していました。

少し極端な気もしますが、ビル・グロース氏も期間は述べておりませんが、イギリスのEU離脱によって確率「50%」でアメリカはリセッション入りすると予測しています。

グロース氏:米リセッション確率、最大50%に上昇も−英EU離脱受け ブルームバーグ

米10年債利回りは1.25%まで低下する可能性があると発言。

しかし日本やドイツのマイナス金利と比べれば、1.25%の利回りは投資家にとって依然魅力的だと述べた。

ただこの格差がドル相場を押し上げ、米リセッション入り確率は30−50%に上がるだろうと指摘した。


金利差によってドル相場が押し上げられ、それによってリセッション入りする可能性が「30%〜50%」あると言っています。

イギリスのEU離脱によって日本は円高・株安となり、アメリカもリセッションの可能性が高まる。

その前兆でしょうか、アメリカの利下げ確率が、利上げ確率を上回りました。

米国の利下げ確率が利上げ確率上回る、英EU離脱の衝撃−チャート ブルームバーグ

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青が利上げ確率の折れ線グラフであり、白が利下げ確率の折れ線グラフです。

確かに白の折れ線が、現時点では青の折れ線を上回っています。

市場が織り込む年内の利下げ確率は現在20%。

これに対し利上げ確率は8%。

英国民投票結果が判明する前日の23日には利下げ確率はゼロだった。


つまり利下げ確率の上昇は、明らかにブレグジットの影響と言えます。

保守党は次期首相選出を10月から1ヵ月前倒しして9月2日と言っていたのですが、1週間後ずれし、「9月9日」に訂正しました。

英次期首相決定が1週間後ずれ、9月9日まで=保守党 ロイター

国民投票のやり直しを求めている有権者は、既に400万人を超えているのですが、その可能性は低そうです。

EU Referendum Rules triggering a 2nd EU Referendum

ドイツのメルケル首相が、イギリスのEU離脱決定を覆す可能性はないと明言しました。

英国がEU離脱決定を覆す可能性ない=メルケル独首相 ロイター

英国がEU離脱決定を覆す可能性を問われると「決定を覆す道はないと断言したい」と述べ、「希望的観測を語るときではない」と語った。

ブレグジット(EU離脱)に投票し、後悔した人達が取り付く島もありません

メルケル首相は、イギリスに割と理解を示す、ソフトな対応に見えたわけですが、回りから突き上げをくらったのでしょうか。

厳しい態度に変わっています。

独首相、英に「いいとこ取り」許さず EU離脱に厳しい発言 ロイター

ドイツのメルケル首相は、英国が今後の欧州連合(EU)離脱交渉で、移動の自由などを許容することなく単一市場へのアクセスするなどの「いいとこ取り」をすることは許されないとの見解を示した。

首相は英国との緊密な関係を維持しつつもEUを強化する意向を強調、「(英国のEU離脱後に)残る27カ国が、正しく前進する意思を能力を示すとが重要だ」と述べた。

EU強化に向けたあらゆる提案を歓迎するとした上で、追随離脱につながるような方策を避けることが肝要だとの見解を示した。


ブルームバーグの記事は、もっと具体的で辛辣な内容です。

独首相が英国にくぎ、幻想を抱くな−欧州委員長は辛口の一言 ブルームバーグ

ドイツのメルケル首相は英国に対し、欧州連合(EU)離脱に関して幻想を抱かないようにとくぎを刺した。

メルケル首相は28日ドイツ連邦議会で演説。

英国はEU離脱後の特別待遇を期待することはできないとし、英政府が離脱を正式申請する前に新たな関係について非公式に協議することもないと言明した。

「今回のような場合、EUの協定が定める条件にいかなる誤解もあってはならない。

英国の友人たちに対する私の唯一のアドバイスは、下さなければならない決断について幻想を抱くな、というものだ」と語った。

離脱の「交渉でいいとこ取りは絶対に起こり得ない。

EUの一員であることを望む国と望まない国との間には明白な違いがなければならず、そうなるだろう」とも首相は断言した。

独政府の姿勢を説明したメルケル首相に議員らは喝采した。


一切の妥協なく、断固たる決意と信念に基づいて離脱手続きを進めそうです。

欧州議会では、「どうしてここにいるんだ?」とユンケル欧州委員長が離脱派の旗手のファラージュ英国独立党党首を詰問する一幕もあった。

ユンケル欧州委員長が、イギリスで散々、離脱を煽っていた独立党のファラージ党首にチクリと針の一刺しです。

これですね。

EU chief to Brexiter Nigel Farage: 'Why are you here?' CNN

内心、腹に据えかねているのが分かります。

ロンドン金融街シティに具体的な暗雲です。

ユーロ建て取引の決済を行うクリアリングハウス(清算機関)をシティからEU圏内に移転させようとしています。

ロンドンの欧州金融拠点の地位、ユーロ圏が揺さぶりへ−決済に狙い ブルームバーグ

クリアリングハウスをユーロ圏に置くか、ロンドンに置くかで対立し、裁判沙汰にまでなっていた問題で、2015年ルクセンブルクの裁判所は、イギリスでの決済を認めました。

これが動揺しています。

この勝利でロンドンの金融街シティーは、493兆ドル(約5京210兆円)に上るデリバティブ市場に金融サービスを提供できている。

だが欧州連合(EU)離脱という決定がこれを危うくし、シティーの主要事業の一つを動揺させている。

英国がEUの規則を受け入れるノルウェー型の離脱方法を採らない場合は「決済機関をロンドンに置いておくことはできない」

ユーロ圏が以前から域内にユーロ建て取引の主要決済拠点を置きたがっているのは公然の事実だ。

ユーロ圏が決済業務を取り戻した場合、ロンドンは担保管理に関連した業務や決済会社の近くにいたいトレーダーらを失う恐れがあるという。

EU離脱はすでにロンドンの大手銀行で数千人の職を脅かしている。

ボウルズ氏は「ユーロ圏に移る恐れのある規模は全体で大きい」と述べた。

ジョナサン・ヒル氏(金融安定・金融サービス担当)は、決済会社はすでに他国への移転に目を向けていると警告していた。


これは28日の記事ですが、翌日にはもっと具体的な話が出ています。

シティの命運をも左右しかねないために、イギリス政府が猛反発していたこの問題でもEU側は容赦なく、イギリス側の感情を逆なでしています。

欧州銀行監督機構や清算機関の拠点、ロンドン撤退へ=EU高官 ロイター

欧州連合(EU)が、英国のEU離脱決定を受け、現在ロンドンにある欧州銀行監督機構(EBA)の拠点をパリもしくはフランクフルトに移転させる見通しとなっていることが、EU高官の話から28日明らかになった。

また、英国に拠点を置くことで合意に達していたユーロ建て証券のクリアリングハウス(清算機関)についても、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏域内に拠点を置く主張を再燃させる見通しで、ロンドンの金融センターは影響力低下を余儀なくされる様相を呈している。

「複数通貨を擁する連合という話は終わりを告げ、EBAはパリかフランクフルトに移転する」

クリアリングハウスをユーロ圏域内に拠点を置くべきとの政策に言及し、「ECBはこの政策を導入するだろう。

明日や2週間後ではないだろうが、今後2年をかけ行われるだろう」と語った。


国際金融センター・シティの終焉です。

スコットランド、ロンドン、北アイルランド、ウェールズ、ジブラルタル、フォークランド諸島、そして金融街シティの地盤沈下とポンドの数年に渡るであろう下落基調は、落日のイギリス大英帝国を連想させます。

まさに斜陽の帝国という感じがします。

これも国家としてのカルマを刈り取っているのかもしれません。


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カナダ・ミシサガで爆発事故




トロントです。

原因は不明です。

テロか事故か?

取り急ぎ。


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2016年06月28日

イギリス解体?

EUに批判的な政党・ポデモスが急伸すると見られていたスペイン総選挙ですが、急伸しませんでした。

ブレグジット(EU離脱)以後、続々と雪崩を打ったように大陸欧州の各国が、イギリスに続いて独立していきEUが崩壊していくことを期待していた筋には期待外れの結果となりました。

スペイン総選挙、急進左派は第3党 予想より伸びず 日経

反EUなのはいいけれども、EUから独立すると自国が崩壊してしまうというジレンマから二の足を踏んだようです。

特にずっと前からEUの崩壊を夢見て、期待しているジョージ・ソロス氏には気の毒な結果となっています。

EU離脱の恐怖を煽り、大衆をEU残留に誘導してポンド買いをしていた事実によって、ポジション・トークだったことがばれてしまいました。

ソロス氏は、今回はポンド買いで損をしたようです。

ソロス氏、ポンド安見込んだ投機取引せず 英国民投票前には、ポンドを買っていた 東洋経済

ブレグジットによってEU市民権を失うことを恐れたイギリス人が、EU加盟国であるアイルランドのパスポート取得に殺到です。

英国人がアイルランドのパスポート取得に殺到、EU市民権求め ロイター

アイルランド生まれ、または両親か祖父母のどちらかがアイルランド人である英国人は、アイルランドのパスポートが取得できる。

郵便局ではパスポート申請書が品切れとなり、処理した申請の数は、通常1日200件程度なのに対し、この日は4000件を上回った。

北アイルランド市民はアイルランドと英国の両方のパスポートを保有できる。


EU離脱を避けられない事態として観念したのでしょうか。

ブレグジットの再投票を求める請願も「395万人」を突破していますが、実施は難しい模様です。

EU Referendum Rules triggering a 2nd EU Referendum

キャメロン首相が、EU離脱を問う国民投票のやり直しを一蹴しているからです。

英首相、国民投票やり直しを却下−保守党党首選は9月2日実施へ ブルームバーグ

10月までと言っていた発言を1ヵ月前倒しし、9月2日に党首選を実施すると言っています。

既にEU離脱への準備を進めるための外務省と財務省当局者で構成される部署を設置しています。

ここでイギリスのEU離脱への準備作業に着手します。

国民投票のやり直しに関しては、

「全く議論の対象ですらない」

としています。

メルケル独首相は同日、英国はEUとの将来の関係について交渉を開始する前に離脱を正式に申請しなければならないと言明。

ただ、離脱手続きを開始するリスボン条約50条を英政府が発動するまでには時間が必要だろうと、一定の理解を示した。


これでイギリス国民はEU離脱を余儀なくされますが、残された道は、非現実的ですが、エリザベス女王の「拒否権の行使」以外にはありません。

EU離脱がイギリスの国益にかなわない場合、女王は拒否権を行使できますが、可能性としては低く、スコットランドが独立しても、それを尊重せねばならず、拒否権の行使はできないと思われます。

EUの各首脳のみならず、欧州議会の全会派が支持する決議案に、イギリスの迅速な離脱手続きを呼びかける文案が盛り込まれました。

欧州議会 英国の迅速なEU離脱手続きを呼びかける スプートニク

イギリスのEU離脱は、避けられない見通しです。

これを確認してS&Pが警告通り、イギリス国債を2段階格下げしました。

見通しは「ネガティブ」であり、場合によってはここからの更なる格下げもあり得ます。

英国を最上級から2段階格下げ、S&P−フィッチは1段階下げ ブルームバーグ

フィッチも1段階下げ、アウトルックは「ネガティブ」です。

最上位格付けトリプルAを失い、一気にベスト10から脱落し、「AA(ダブルA)」となり、国家としては16位となる格付けになっています。

格付け一覧 世界の主要国

ここ数年はイギリスにとって悪夢かもしれません。

ちなみにイギリスとはこれです。



白はアイルランドであり、EU加盟国です。

北部の北アイルランドとスコットランド、ウェールズにイングランドで構成される連合王国です。

この内、黄色のスコットランドと北アイルランドが独立しそうです。

これですね。



悪いうさぎです。

スコットランド行政府、EUとの関係維持に向け議会の支援求める ロイター

28日に提出される特別動議は、スコットランドとEUの関係を保護するためのオプションについて英国や欧州で協議するための支援をスコットランド行政府に与えることを目指す。

スタージョン行政府首相率いるスコットランド民族党(SNP)は、スコットランド議会で議席の過半数を得ていないものの、自由民主党が特別動議を支持すると表明したことで、動議可決の可能性が高まっている。


特別動議の可決が高まっているようです。

EUの問題を扱うドイツ連邦議会は、スコットランドが独立を経て、EUの一員になることを支持する考えを表明しています。

スコットランドのEU入り支持=独立経て―独議会委員長 時事

欧州連合(EU)の問題を扱うドイツ連邦議会(下院)委員会のクリッヒバウム委員長は26日の独日曜紙ウェルト・アム・ゾンターク(電子版)に対し、国民投票でEU離脱を決めた英国のスコットランドが独立を経て、EUの一員になることを支持する考えを示した。

クリッヒバウム氏は「スコットランドで(独立を問う)住民投票が行われ、成功すると予想している」と指摘。

「親EU国からの加盟申請には速やかに応じるべきだ」と訴えた。


スコットランド独立の住民投票が成功すると見ているのは、何もドイツ連邦議会だけではありません。

元FRB議長であるグリーンスパン氏も、そう見ています。

グリーンスパン氏、EU離脱は「ひどい結末」−国民投票の実施が過ち ブルームバーグ

グリーンスパン氏は、イギリスの政策当局者が、国民投票という酷いあやまちを犯した。

あらゆる面で酷い結果をもたらしたために、国民投票は実施すべきではなかったと言っています。

同氏によれば、EU残留派が有権者の過半数を占めたスコットランドは独立の是非を問う国民投票をあらためて実施する可能性が高く、同地域での投票は成功するとみている。

さらに北アイルランドも「恐らく」同様の道をたどる可能性が高いとグリーンスパン氏は言う。


この地図を見て下さい。

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もし住民投票が成功すれば、この地図の黄色のスコットランドと北アイルランドがイギリスではなくなるわけです。

これですね。



悪いうさぎです。

少ししつこいですね。

残りはウェールズとイングランドですが、その最後のウェールズにも独立の動きが出ています。

本来、ここは離脱派だったはずですが、独立の動きです。

ウェールズの地域政党、独立に向けた動き加速へ 英国民投票受け ロイター

ウェールズの地域政党「プライド・カムリ(ウェールズ党)」を率いるリアーン・ウッド氏は27日、先週の国民投票で英国の欧州連合(EU)離脱派が勝利したことを受け、ウェールズ独立の動きを加速させると表明した。

ウッド氏は、国民投票の結果により「全てが変わった」とし「ウェールズは、イングランドおよびウェールズにおいて、忘れられた地域になることはできない」と語った。

その上で、今後の党の方針を協議するための特別会合を間もなく開くと明らかにした。


スコットランドは独立後に単独でEUに加盟し、北アイルランドは独立後、EU加盟国であるアイルランドと統合する。

そして地図で言えば緑のウェールズです。

まさに連合王国の解体です。

これが現実化しますと、イギリスという国家はなくなってしまいます。

通貨は売られ、投資は激減し、金融サービスも崩壊して、本当に衰退する貧しい島国になってしまいます。

過去のある者には、未来がない : オスカー・ワイルド

過去・現在・未来は一点であり、この「一点の悟り」を神理を悟ると言う。

過去の人生の意義も「神の心」であったし、現在の人生の意義も「神の心」であり、未来の人生の意義も「神の心」です。

神理は不変であり、変わるものではない。

過去の人類も「正しき心」を求めてきたし、現在の人類も求めている、そして未来の人類も「正しき心」を求めていく。

神理において過去・現在・未来は一点であり、この「一点の悟り」を永遠を悟ると言う。

開けば宇宙一杯に満ち溢れ、閉じれば髪の毛一本立てる隙もない : 臨済録

開けば無限、閉じれば一点。

過去の罪ゆえに未来がない。

過去の善ゆえに未来がある。

反省なき傲慢が、未来を消滅させる。

これは個人にしろ、国家にしろ、また文明にしろ変わらぬ永遠の理法です。


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