2017年07月07日

アメリカの逡巡

北朝鮮の対中貿易依存度は「91.5%」です。

北朝鮮、貿易の対中依存度が9割超に デイリーNK

世界貿易機関(WTO)の国際貿易センター(ITC)によると、2016年の北朝鮮の貿易総額は60億2000万ドル(約6615億3800万円)で、輸出は28億3000万ドル(約3109億8900万円)、輸入は31億9000万ドル(約3505億4900万円)だった。

このうち、中朝貿易額は55億1​​000万ドル(約6054億9400万円)で、全体の91.5%に達した。


これにインド(1億4000万ドル)、フィリピン(8700万ドル)、ロシア(7600万ドル)が続きます。

アメリカは、中国に圧力をかけ、北朝鮮の断油や経済的な封じ込めを通して核放棄を促していたわけですが、それに乗りませんでした。

トランプ大統領は、不満を漏らしています。



中国と北朝鮮の貿易額は、第一クウォーター(1月ー3月期)だけで40%も増加している。

中国はやる気がない、と見ています。

軍事力の行使ができない、業を煮やしたアメリカは、セカンダリー・ボイコットに軸足を移す気配が見られます。

ちなみにセカンダリー・ボイコットとは、北朝鮮と取引している第三者に科す制裁です。

ここで言う第三者とは当然、中国を指します。

kita3.PNGkita4.PNGkita5.PNGkita6.PNGkita7.PNG

ヘイリー国連大使は、「あり得ないことだ」なんて言っていますが、トランプ大統領の締めているネクタイも、恐らく中国製です。

もはやアメリカとて中国を世界経済から閉め出すことはできない。

国連安保理の緊急会合ではアメリカと中国、並びにロシアとの意見のへだたりが明確になっていました。

中国とロシアは対話を優先し、アメリカは圧力と制裁を優先していました。

中国とロシアが制裁を支持しなければ、アメリカは、

われわれはわれわれの道を行く

と牽制しています。

やむを得なければ軍事力を行使するとも言っていました。

「やむを得なければ」北朝鮮に軍事力行使の用意も=米国連大使 ロイター

スクリーンショット (1257).pngスクリーンショット (1258).pngスクリーンショット (1259).pngスクリーンショット (1262).pngスクリーンショット (1263).pngkita1.PNGkita2.PNG

強硬姿勢を示していますが、かなり軍事力の行使は懐疑的になってきています。

レッドラインと言われていたアメリカ本土に到達するICBMの獲得を決して認めないと言っていたトランプ大統領ですが、結局4月の米中首脳会談で合意した「100日の猶予」を許しているうちに北朝鮮はICBMを獲得してしまいました。

北朝鮮対応「100日猶予を」 中国・習主席、米に要求 朝日

100日目とは「7月16日」までですが、ICBMを北朝鮮は保有してしまいました。

トランプ大統領は中国に裏切られた感覚が強くなっているかもしれません。

緊急会合では軍事力を行使すると強気な態度でしたが、翌日にはすぐにマティス国防長官が緩和しています。

米国防長官「戦争に近づいてはいない」 北朝鮮ミサイル 朝日

北朝鮮がICBMを開発・保有しても、

(北朝鮮との)戦争に近づいているとは思わない

と述べ、外交的な圧力を加えていくと言っています。

今回のマティス発言は、米軍を統括する国防長官として、北朝鮮に対する軍事力行使の可能性を否定したものだ。

米軍が北朝鮮の核・ミサイル関連施設などへの先制攻撃などの軍事手段に出れば、反撃によって同盟国の韓国などに「深刻な結果を招く」と強調。

軍として「自制していく」と述べ、軍事力行使には慎重な見方を示した。


軍事力の行使を「やる」と言ったり、「やらない」と言ったり、はっきりしませんが、現時点では「自制する」と言っているわけですから韓半島有事はない。

結局は二者択一しかアメリカには選択肢はないわけであり、軍事力を行使して北朝鮮に核放棄させるか、同盟国の犠牲を恐れて軍事力の行使ができないならば、北朝鮮の核保有を認めるしかない。

この二つしかありません。

そしてアメリカは、この二つの選択肢のどちらも選択できない現状です。

軍事力の行使もできず、さりとて北朝鮮の核保有も認めることができない。

4月頃は、アメリカ「単独」でも行動すると言っていたのですが、アメリカ単独からアメリカと同盟国と変化し、そして今は同盟国を守るために行動すると言っています。

初めは中国が解決するか、我々が攻撃するか、二つに一つしかないと威勢が良かったわけですが、現実的には過去のアメリカ大統領が北に対して軍事行動が取れなかった、その同じ理由と直面しています。

犠牲が多すぎるのですね。

韓国や日本に対して同盟国は、必ず守るから100%、自分を信じてくれと言っています。

この二つの選択肢のうちどちらも選択できない時は、中国お得意の「棚上げ」が唯一の選択です。

軍事力の行使をするわけでもなく、さりとて北朝鮮の核保有を認めるわけでもない。

現状維持を続けるしかない。

そうこうしているうちに北朝鮮の核兵器とICBMの能力が飛躍的に向上していくわけですけどね。


今後、数週間、数か月、北朝鮮の様子を見ていこう

数週間から数か月は、韓半島有事はないということです。

数か月と言いますと2、3ヵ月ということでしょうか。

10月初めまではアメリカの軍事力の行使はないと見ていていいようです。

数週間とも言っておりますので微妙ですが、この場合8月中旬の米韓合同軍事演習頃でしょうか。

可能性としてはあるかもしれません。

ソウルは日本と異なり、シェルターがかなり整備されています。

人命は一般がいうほどの犠牲はないでしょう。

ただソウルの建物や構造物は、一旦戦争となりますと崩壊し、焼け野原となる。

アングル:核やミサイルだけではない北朝鮮の「脅威」 ロイター

korea-shelters.gif

seoul-shelter-size.gif

seoul-shelter-sq.gif

仮に北朝鮮の一斉砲撃があった場合、韓国政府は市民に対し「落ち着いて、直ちにシェルターへ避難」するよう呼びかけるとしている。

韓国政府の国民安全処は、地下鉄の駅や企業・政府庁舎の地下など、最寄りのシェルターの位置を案内するスマートフォンアプリを配布している。

シェルターの大きさは最大で23万9096平方メートルあり、集合団地の地下に存在する。

国民安全処によると、韓国全土に1万7051カ所のシェルターがあり、ソウル市内の避難施設は3321カ所あるという。

シェルターの合計面積とソウルの人口から求めた、市民1人当たりの面積は2.31平方メートルとなっている。


正確には分からないでしょうが、一般的に思われているほどの人命の損失はないのではないか?

これだけシェルターが整備されているというのは驚きです。

日本とは全く違うようです。

ただ第二次朝鮮戦争となりますと、都市機能は崩壊し、インフラも壊滅的な打撃を受けるでしょう。

日本では地下鉄に逃げるか、強度のある構造物に逃げるしかなく、シェルターというのは聞いたことがない。

日本には逃げるシェルターすらない。

政府は、国民が勝手に逃げろと言っているだけです。

どちらの人命の損失が大きいかは、言うまでもない。

北朝鮮が、もう一つの「レッドライン」を超えた時、すなわち6回目の核実験実施後に、アメリカの本音が推測できるかもしれません。

現時点では、軍事力の行使は無理でしょうね。

スポンサーリンク



posted by 管理者 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 国際
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/180276166

この記事へのトラックバック